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廣瀬先生の徒然日記 vol.030


9月に入ったというのに、毎日暑い日が厳しいですが、みなさまいかがおすごしでしょうか。私は、今年は汗疹、湿疹、蕁麻疹だけでなく、とうとう熱中症にかかりかけました。コロナ禍のためとはいえ、マスク生活をしていると熱中症にかかりやすくなりますので、みなさまも十分お気を付けください。外でのマスク着脱は適宜に行い、水分補給や塩分補給も忘れずに。

ところで、最近、私の友人が尿路結石で苦しむ事件がありました。尿路結石とは、尿路に結石が形成される病気で、結石のある部位によって、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と言います。小さい結石であれば、尿といっしょに排泄されることがありますが、そうでない場合には手術などによって治療する必要があります。結石の原因としては、体質、代謝異常、内分泌疾患や、その他にも食生活などの生活習慣や肥満などがあげられます。

 


尿管結石は七転八倒の苦しみで起き上がれないほど痛く、脂汗を流して苦しむといわれています。尿管結石による第一回目の痛みの発作は突然襲うことが多いようです。突然襲う激痛で慌てて救急車を呼び、病院に担ぎ込まれることになります。しかし、病院に着いた頃には痛みがなくなっていることもあります。尿路結石の痛みは、結石が腎盂や尿路から動いて尿の流れが阻止される時に起きます。この痛みの原因は、尿の流れが阻止されることによる腎盂内の圧力が急激に上昇するためと考えられています。高い圧力が加われば、激しい痛みを感じることになります。しかし、ある程度内圧が上昇すると、尿の生成が止まり、内圧の変化は無くなり、腎盂、腎杯、尿管が拡張した状態で平衡状態になります。こうなれば鈍痛はあっても激しい痛みには襲われません。しかし、痛みがなくなったからといって放置してしまうと、腎機能に影響がありますので、尿路結石といわれたら、医師に結石が無くなったといわれるまで放置しないように注意することが大切です。


治療

画像診断で、自然排石が可能と判断される結石については、水分を多量摂取して尿量を増加させたり、体動によって結石の尿管内下降を図ります。内服薬による尿管の緊張緩和も併用するようです。


破石治療

画像診断で、自然拝石が困難な場合に各種外科的処置が行われます。一つは体外衝撃波を用いた結石破砕術、もう一つは内視鏡を用いた砕石術です。体外衝撃波結石破砕術(ESWL)は、患者さんの身体的負担が少なく、技術的にも容易です。ESWLで砕石不可能な特殊な結石に対してのみ内視鏡を用いた破砕術が施行されます。
ESWLはドイツのドルニエ社が最初に研究開発を進めた技術です。水中で電極放電すると電極周囲に衝撃波が生じることがわかり、衝撃波を体外から人体に照射すれば、人体中の結石が破壊しうるのではないかと考え、8年余の年月と15億円の開発費を投じ、実用化までもっていった技術です。衝撃波が骨にあたっても、骨が破壊されることはありませんし、腸にあたっても障害はおきません。


再発

ミネ尿路結石の再発率が高く、何もしなければ80~90%が再発すると言われていますが、食事指導や生活指導が適切になされれば再発率は60%に低下すると報告されています。


予防

結石の予防について、普段の生活の中で実行可能なことを挙げてみましょう。

1: 食塩を過剰に摂取しない(1.0g/日以下)
2:動物性蛋白質を過剰に摂取しない(1.0g/kg/日)
3:ビタミンCを過剰に摂取しない
4:就寝直前に食事をしない
5:一日の尿量が2リットル程度になるように水分をとる
6:シュウ酸過剰摂取の制限
7:糖分過剰摂取の制限
8:脂肪過剰摂取の制限
9:炭水化物の摂取(穀物摂取のすすめ)
10:クエン酸適量摂取のすすめ
11:朝昼夕3食のバランスをとる「夕食過食の是正、朝食欠食の是正」
12:夕食から就寝までの間隔をあける「4時間程度の間隔を目標とする」

以上のことが実行できればかなり結石形成の予防につながるそうです。

食塩を多量に摂取すると、腎尿細管で再吸収されるナトリウム量が低下し、尿中のカルシウム量が増加することになります。
肉類をとれば、一時的に腎係球体の濾過量が増大し、そのために濾過されるカルシウム量が増加し、尿中のカルシウムが増加します。加えて、動物性たんぱく質を多くとれば、尿中の尿酸とシュウ酸の排出量も増加するので、結石の発生する危険性が高まります。
ビタミンCは体内で代謝されてシュウ酸を作るので、結石成分のほとんどを占めるシュウ酸カルシウムの部品を作ることになってしまいます。

食事で摂取したカルシウムやシュウ酸の尿中への排出は、食後2~3時間でピークに達します。就寝中の尿量は減少して濃縮された尿がでてくるため。夜遅く食事をとると、尿中へのカルシウムおよびシュウ酸の排出と濃縮される尿が生成される時間帯が重なり結石ができやすくなります。
心臓が悪い人、緑内障の人、腎臓が悪い人などは、あまり水を飲みすぎると体に良くありませんが一日の尿量が2リットル程度になるように水分をとるように努めることも、結石再発の予防になります。
ただし、紅茶等にはシュウ酸が多く含まれていますから、シュウ酸カルシウムの尿路結石を再発しやすい人は避けた方がいいでしょう。
ほうれん草にはシュウ酸が多量に含まれていますが、おひたしにすれば、水の中にあくとしてシュウ酸が出ていくので問題はありません。


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