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廣瀬先生の徒然日記 vol.020

みなさま、5月なのに暑い日が続きますが、いかがお過ごしですか?
私は、ちょっと体調を崩してしまいました。急な熱さに慣れていなかったようです。みなさまも、熱中症や風邪などには気を付けて下さいね。

ところで、6月4日から10日は「歯と口の健康週間」です。これは厚生労働省、文部科学省、日本歯科医師会、日本学校歯科医会が「歯と口の健康に関する正しい知識」を国民に対して普及啓発するとともに、歯科疾患の予防に関する適切な習慣の定着を図り、併せてその早期発見及び早期治療等を徹底することにより歯の寿命を延ばし、もって国民の健康の保持増進に寄与することを目的として実施している週間です。

虫歯や歯周病は、その発病や進行により欠損や障害が蓄積し、その結果として歯の喪失に繋がるため、食生活や社会生活等に支障をきたし、全身の健康に影響を与えるものとされています。

平成8年より厚生科学研究「口腔保健と全身的な健康状態の関係に関する研究」が実施されており、80歳高齢者を対象とした統計分析等がなされています。その結果、歯の喪失が少なく、よく噛めている人は生活の質および活動能力が高く、運動・視聴覚機能に優れていることが明らかになっています。また、要介護者における調査においても、口腔衛生状態の改善や、咀嚼能力の改善を図ることが、誤嚥性肺炎の減少や、ADL(英: activities of daily living日常生活動作(にちじょうせいかつどうさ)とは、食事・更衣・移動・排泄・整容・入浴など生活を営む上で不可欠な基本的行動を指す。)の改善に有効であることが示されています。

従来の歯科保健対策は、小児期における虫歯予防対策を中心として実施されてきており、その結果、乳歯の虫歯は明らかに減少かつ軽症化の傾向を示し、永久歯の一人平均虫歯数も、20歳頃まで減少傾向が認められるなど着実に成果が上がってきているそうです。

しかし、13歳で虫歯有病者率が90%を越え、55から64歳で歯周病の有病者率が82.5%となるなど、依然、歯科疾患の有病状況は虫歯、歯周病ともに他の疾患に類を見ないほど高率を示しています。また、咀嚼能力に直接的な影響を与える歯の喪失状況についても、60歳代で半分(14歯)の 歯を失い、80歳代では約半数の人がすべての歯を喪失しているなど、国民の保健上から依然として大きな課題となっています。

みなさまの興味とするところは、虫歯よりも歯周病かと思いますので、歯周病のお話をしましょう。日本臨床歯周病学会によると、「歯周病は、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患です。歯と歯肉の境目(歯肉溝)の清掃が行き届かないでいると、そこに多くの細菌が停滞し(歯垢の蓄積)歯肉の辺縁が「炎症」を帯びて赤くなったり、腫れたりします(痛みはほとんどの場合ありません)。そして、進行すると歯周ポケットと呼ばれる歯と歯肉の境目が深くなり、歯を支える土台(歯槽骨)が溶けて歯が動くようになり、最後は抜歯をしなければいけなくなってしまいます。」と紹介されています。


また、日本臨床歯周病学会が示している歯周病セルフチェックは以下です。
上記の項目3つあてはまる 油断は禁物です。ご自分および歯医者さんで予防するように努めましょう。
上記の項目6つあてはまる 歯周病が進行している可能性があります。
上記の項目全てあてはまる 歯周病の症状がかなり進んでいます。

いかがでしょうか?
歯周病は40歳以降に歯を失っていく大きな原因となっています。歯科疾患実態調査によると35から44歳の27%が歯周炎に罹患しているそうです。
同年齢で歯肉炎も含めると、81.2%に症状が認められており、これ以降、加齢的に歯周病が増悪し、それとともに喪失歯数も増加しています。このため、歯周病の予防、進行防止を徹底することが歯の喪失防止に重要です。
歯周病のリスク因子としては、疫学研究により喫煙、歯間部清掃用器具使用の有無、過度の飲酒、定期歯科検診・受療の有無、食習慣、歯磨き回数などが示されています。厚生労働省では、以下の3点に注意を促しています。

 

ア 歯間部清掃用器具の使用

通常使用する歯ブラシでは歯と歯の間の部分の歯垢(デンタル・プラーク)を完全に落とすことができないため、この部分から歯肉の炎症が生じるケースが多い。このため、歯間部清掃用器具(デンタル・フロス、歯間ブラシ等)を使用する必要がある。

 イ 喫煙

近年、喫煙が歯周病および歯の喪失のリスクファクターとして重要な位置を占めているとの報告がなされおり、歯科保健の分野からも喫煙の健康影響についての十分な知識の普及を進める必要がある。また、歯周病に罹患している者、特に進行した歯周病に罹患している者については、必要に応じて禁煙支援、指導を行っていくことが重要である。

ウ その他

歯周病の発生・進行を防止するためには、定期的な検診および歯石除去、歯面清掃が効果的であることが多くの介入研究等により示されており、かかりつけ歯科医等のもとで、こうした歯周病管理を受けている者を増加していく必要がある。

また、歯周病を初期のうちに自己管理して、手遅れになるのを防ぐためにも、例えば、週1回以上鏡で自分の歯ぐきの状態を観察する等の習慣を定着していくことは効果があるものと思われる。実際に、生徒を対象とした研究ではあるが、歯肉の状態を自己観察して記録するよう介入を行うことにより、歯肉の状況の改善に効果があったとの報告がなされている。

歯の健康、口腔内の健康は、健康長寿にとても重要ですので気を付けて下さいね。

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