新着メディア情報

廣瀬先生の徒然日記 vol.025

皆さま、こんにちは。今月は、脂肪肝のお話です。今年の健康診断で、「脂肪肝になっていますよ」とか言われた方、いませんか?人間ドック受検者の20~30%は脂肪肝であると報告されており、近年さらに増加しているようです。肝臓は、沈黙の臓器と言って、多少悪くなっていても自覚症状がありません。しかし診断されたということは、脂肪がたまって肝臓の働きが悪くなっているということです。脂肪肝になると、その中で進行する場合、肝臓の線維化(固くなる変化)となり、さらに進行して慢性肝炎(脂肪性肝炎)となります。さらに進行すると肝硬変や肝臓癌になる場合があると知られるようになってきました。ですので、脂肪肝を放置していると、知らない間に肝炎や肝癌になる可能性がありますので、脂肪肝と診断が出たら手遅れになる前にライフスタイルを見直しましょう。また、かかりつけ医に相談して治療することも必要です。

脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪がたまった状態です。メタボリックシンドロームに合併しやすいと言われており、様々な肝障害を引き起こします。もともと肝臓ではエネルギー源として脂肪を作り、肝細胞の中にためています。しかし、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると、余分なエネルギーはグリコーゲンや中性脂肪につくり替えられ、体にたくわえられます。中性脂肪は肝臓に貯蔵され、肝細胞の30%以上に中性脂肪がたまると脂肪肝と診断されます。その他、中性脂肪は腸間膜(内臓脂肪)や皮下脂肪組織にたくわえられます。そのため、脂肪肝と診断された方は、肝臓だけでなく、体のあちこちに脂肪を溜め込んでいるのです。

脂肪肝には、アルコールの過剰な摂取が原因のアルコール性肝疾患と、アルコール摂取量が少ないのに脂肪肝となってしまう非アルコール性脂肪性肝疾患があります。

飲酒量がエチルアルコールに換算して男性なら1日30g以下、女性なら1日20g以下の場合は、後者の非アルコール性脂肪性肝疾患と考えられます。お酒の量で言うと、ビールなら500ml、あるいは日本酒なら1合に相当します。

アルコール性肝疾患による脂肪肝の人が、そのまま飲酒を続けると、肝障害が進行して肝硬変となり、肝臓癌を発症する可能性があります。アルコールは肝臓だけでなく消化管、心臓、神経、精神など種々の障害を起こします。アルコールの毒性は、薬物で消せませんので、禁酒するしかありません。アルコールのコントロールは、家族など身近な方に協力いただくか、かかりつけ医と相談しながら行ってもいいでしょう。

アルコールが原因でない脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患)の原因は、ほとんどが食べ過ぎです。食べ過ぎにより、消費しきれない脂肪は肝臓に蓄積され、加えて、過剰なカロリーは中性脂肪に変換され、肝臓に蓄積され、脂肪肝となります。

非アルコール性脂肪性肝疾患は、肥満や生活習慣病が原因のことが多く、非アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪性肝炎に分かれます。非アルコール性脂肪性肝炎は、非アルコール性脂肪性肝疾患の全体の10~20%とされています。非アルコール性脂肪性肝炎は、非アルコール性脂肪性肝疾患から進行すると考えられていますが、その機序は様々な要因が考えられており解明されていません。ただ、中には肝硬変や肝癌へ悪化していくタイプがあるので、定期的なCTや超音波検査を行う必要があります。

非アルコール性脂肪性肝疾患の治療で最も有効なのは、肥満や生活習慣病の治療、食事制限による体重の減量によって改善することがわかっています。体重を現在の7%減量できれば、脂肪肝は顕著に改善すると言われています。体重60kgの人は、4~5kg減らせばよいのです。もしも、非アルコール性脂肪性肝炎であれば、痩せなければ肝硬変や肝がんになる可能性があるので、真剣に食事制限をして脂肪を落としてください。なぜなら、現在のところ、既存の肝臓病治療薬では、非アルコール性脂肪性肝炎に対する有効性が確認されていません。


そのようなわけで、脂肪肝と言われた方は、ライフスタイルの見直しで改善できます。軽い脂肪肝であれば比較的簡単に改善します。原因が飲酒であれば量を減らすか禁酒をしたり、肥満が原因であればカロリー制限をしたり運動をして減量に努めます。適度な運動は治療効果を高めるので、ぜひ取り入れてください。

 

[template id=”119″]

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。



facebook

Instagram

アーカイブ

ページ上部へ戻る